9月3日の午後9時頃(写真(a))、ガソリンスタンドにいて、中日新聞記者からの携帯への電話で事故を知った。状況も分からないまま、コークス炉ガスの貯蔵タンクの爆発原因を推測して欲しいいうことで、水素爆発の可能性を指摘した。翌朝の記事(4日中日新聞朝刊)はインパクトがあったようで、朝から、CBCテレビ、名古屋テレビ、中京テレビ等からも自宅に電話が入った。実は、やっと大学院入試が終わり、休暇を取って伊勢志摩への講座旅行に出かける予定であったが、10時半からの大学での名古屋テレビ等の取材、12時からのCBCテレビ報道局での取材に応じた(その夜の3社のテレビ報道)。それを終え、学生を追いかけての伊勢志摩キャンプ場に向かうドライブ中にも電話はなり続け(CBCテレビ、朝日新聞)、炉辺に止まってはコメントをした(5日朝日新聞朝刊、  http://www.asahi.com/national/update/0905/008)。また、夜のキャンプ場には、中日新聞の志摩支局から航空写真を持った記者が駆けつけた。本社とのやり取りも含めた取材で、タンク内部のピストン−天井間の空間での水素爆発の可能性と今後に取りうる対策を指摘した(5日中日新聞朝刊)。キャンプ場での翌朝、今度は毎日新聞からの携帯電話による取材を受けた(6日毎日新聞朝刊)。あわただしい合宿を終えて帰名後には、読売新聞からも自宅に電話が入った。このような事故はあってはならないが、人的被害が最小限であったことと、ほぼ推論に沿う形での原因究明が進み、少なからぬ社会的貢献ができたことに安堵している。

2003910
名古屋大学大学院工学研究科 材料プロセス工学専攻
教授 桑原 守

(追記)
 この事故に関しては、その後の調査結果を踏まえて、更に踏み込んだ原因解明のコメントを公表した(9月27日中日新聞朝刊1 : 硫化水素による長期的な金属腐食→ピストンの補助的重りの落下→ピストンとタンク圧力間の総重量480トン規模の微妙な力学的バランスの崩壊→ピストン・容器壁間の金属摩擦と火花発生→水素・空気混合ガスの爆発的着火の可能性)。


新日鉄名古屋製鉄所工場内でタンク爆発 (愛知県東海市)

 20039月3日午後7時40分ころ、愛知県東海市東海町の新日本製鉄名古屋製鉄所内にあるコークスオーブンガスのタンク(約4万立方メートル)が爆発した。原因不明といわれる中、多くの報道関係者から取材を受け、原因究明のために下記の対応とコメントをして社会的貢献をした。