ダイヤモンド半導体を用いた耐環境パワーデバイスの開発

 半導体パワーデバイスは幅広い産業分野で省エネルギー化に大きく貢献していますが、現在使用されているパワーデバイスの性能改善は限界に近づいています。一方、ダイヤモンドは、5.5 eVのバンドギャップを持ち、高熱伝導率、低誘電率、高移動度、高絶縁破壊電圧等の優れた特性を持つことから、電力変換、高周波増幅器等に使用可能な次世代パワーデバイス用半導体材料として期待されています。本研究では、電子デバイスとして高いポテンシャルを有するダイヤモンド半導体を用い、省電力性、耐環境性に優れた次世代パワー半導体デバイスを開発します。


 ・耐高温ダイヤモンドデバイスの開発

 現在、耐環境性として特に、耐高温性に着目し、高温で安定に動作するダイヤモンドパワーデバイスの開発を行っています。マイクロ波プラズマCVD法を用いた高品質ホウ素ドープp型ダイヤモンド半導体層を用いることにより、従来のSi等を用いたパワー半導体では不可能な高温領域(〜750℃ )で動作するショットキーダイオード(整流素子)の作製に成功しています。





 ・ダイヤモンド耐高温パワーデバイスの作製

 
高温下でのパワー特性(大電力)について調査する為に、Cu/ダイヤモンドショットキーダイオードを作製し、400℃で電流-電圧特性を測定した所、下図の様に耐圧 713 V(~1.0 MV/cm)、オン抵抗83mΩcm2が得られました。これは現在実用化が進むパワー半導体であるSiCの理論限界に近い値であり、ダイヤモンドのパワーデバイスとしての高いポテンシャルを示唆する結果です。今後は素子構造の工夫等により更なる大電力化を図ります。





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