ダイヤモンド/グラフェン接合を用いた新規光デバイス開発


 ・ダイヤモンド/グラフェン(炭素sp3-sp2)接合の脳型光記憶機能
 
グラフェン/ダイヤモンド積層(炭素sp2-sp3)界面が、重要な光情報のみを選択的に記憶し、不要な情報を忘却する脳型光記憶素子となることを新たに見出しました。

 人間の脳では、神経細胞のつなぎ目であるシナプスが、外部刺激により結合強度変化することで情報の記憶・忘却が切り替わります。
 本研究で開発したグラフェン/ダイヤモンド素子は、脳内シナプスと同様に、光刺激の強弱に応じて、記憶保持時間が切り替わる特性を有しており(左下図)、
1つの素子で人間の眼と脳の機能を併せ持つ事が明らかとなりました。シナプスでは電気的な刺激で結合強度変化が起こりますが、本素子では光刺激により結合強度変化が起こるため、画像等の光情報が直接検出され、重要度(光刺激の頻度)に応じて自律的に記憶・忘却されることが大きな特徴となります。また、これらのグラフェン/ダイヤモンド素子を配列して作製したアレイ構造がイメージセンサとして機能し(I字とL字パターンが光記憶)、光刺激の頻度に応じて光情報が選択的に記憶・忘却されることがわかりました(右下図)。
 本成果を発展させていくことで、センサ側で光情報を取捨選択して瞬時に記憶する新型イメージセンサなどの作製が可能となり、現代情報社会において溢れかえる膨大な情報を自動で取捨選択し重要な情報のみを検出・記憶、即時処理する新型光コンピュータや高性能カメラの創出に繋がっていくと思われます。
 詳細は、下記論文をご参照下さい

    (Ref.: Y. Mizuno, Y. Itou, and K. Ueda, Carbon 182 (2021) 669)

 また、つくばサイエンスニュースで掲載頂いたライターさんによる解説記事も分かり易いです。


  左図:グラフェン/ダイヤモンド接合の脳型光記憶機能、右図a-d:接合アレイの光検出・記憶動作(イメージセンサ)



























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