◆科目名:材料物理学演習
     
    ◆科目区分:専門基礎科目 A
    ◆必修/選択:選択必修
    ◆授業形態:演習
    ◆単位数:1.5単位
     
    ◆開講時期:3年 前期
    ◆授業時限:金曜日 4,5時限( 14:45 〜 17:15 )
     
    ◆担当者: 坂 公恭(工学研究科 量子工学専攻)----- 結晶物理学
     5号館 341号室,Tel:789-3348 ,saka@numse.nagoya-u.ac.jp
    黒田 光太郎(工学研究科 材料機能工学専攻)----- 材料物理学
     5号館 343号室,Tel:789-3349 ,kuroda@numse.nagoya-u.ac.jp
    松井 正顕(工学研究科 結晶材料工学専攻)----- 量子力学 A
     5号館 349号室,Tel:789-3568 ,matsui@numse.nagoya-u.ac.jp
    杉村 博之(工学研究科 材料プロセス工学専攻)----- 統計力学 A
     9号館 515号室,Tel:789-2796 ,sugimura@numse.nagoya-u.ac.jp
    田渕 雅夫(工学研究科 材料機能工学専攻)----- 半導体材料学
     9号館 420号室,Tel:789-4516 ,tabuchi@numse.nagoya-u.ac.jp
     
    ◆問合せへの対応:事前に電話かメールで時間を打ち合わせる。

    ◆授業のねらいと内容:
       電子材料を始めとする各種機能性材料の物理的性質を理解するためには、結晶物理学、材料物理学、量子力学、統計力学、半導体材料学に関する幅広い知識が必要である。本科目では、これらの内容に関する演習を行い、材料の構造・性質・機能に関する理解を深めることを目的とする。


    ◆授業計画:

      ○第1週(坂):結晶物理学に関する演習1 (結晶学の要点)
         結晶象と空間格子、ミラー指数、六方用指数、代表的な結晶構造に関する演習を行う。

      ○第2週(坂):結晶物理学に関する演習2 (結晶のステレオ投影と逆格子)
         空間投影、ステレオ投影の応用、逆格子に関する演習を行う。

      ○第3週(坂):結晶物理学に関する演習3 (結晶による回折)
         平面波、原子による散乱、単位胞による散乱、エワルド球、構造因子、結晶の外形による逆格子の広がりに関する演習を行う。

      ○第4週(黒田):材料物理学に関する演習1
         2元系状態図を読みとる練習を行う。冷却過程における合金の相解析を行い、組織変化を模式的に記述する。

      ○第5週(黒田):材料物理学に関する演習2
         与えられた条件のもとで、グラフ用紙上に4相平衡を含む3元状態図の展開図を描く。

      ○第6週(黒田):材料物理学に関する演習3
         前回作成した3元状態図の等温切断図、垂直断面図を描く。

      ○第7週(松井):量子力学 A に関する演習1 (シュレーディンガー方程式と固有関数)
         電子の軌道を理解することを目的として水素原子のシュレーディンガー波動方程式の解法を習得し、簡単な固有関数を導く。

      ○第8週(松井):量子力学 A に関する演習2 (3d軌道の固有関数)
         第7週で習得したシュレーディンガー波動方程式の解法をもとに3d軌道の固有関数を導出し、その角度依存性を考察する。

      ○第9週(松井):量子力学 A に関する演習3 (電子トンネル現象)
         電子はトンネル現象によってポテンシャル障壁を通過する。モデル的なポテンシャルにおけるシュレーディンガー波動方程式を解いて電子の透過または反射する確率を計算することで、電子の基本的な挙動とトンネル現象に関する演習を行う。

      ○第10週(杉村):統計力学 A に関する演習1 (熱力学と気体分子運動論)
         統計力学の基礎となる熱力学と、物質を構成する分子の運動を力学的に扱い、物質のさまざまな性質を説明しようとする分子運動論に関する演習を行う。

      ○第11週(杉村):統計力学 A に関する演習2(気体分子の運動と古典力学的体系の統計力学)
         互いに独立して運動する分子の集まりとして気体をあつかう理論を拡張して、液体や固体にも適用できる理論へと展開し、それぞれの分子をニュートン力学に従う質点として扱う古典統計力学に関する演習を行う。

      ○第12週(杉村):統計力学 A に関する演習3 (量子論的な体系と量子統計)
         個々の分子がニュートン力学ではなく量子力学に従う体系の挙動に関する演習と、分子だけでなく電子や光子まで含めた量子力学的体系の統計力学、すなわち量子統計に関する演習を行う。

      ○第13週(田渕):半導体材料学に関する演習1
         「応用物性」2章 章末の演習問題を素材に、金属において、
        1. 結晶の持つ周期性のあるポテンシャルから電子の状態密度関数が導かれること
        2. 状態密度関数と電子の総数からフェルミエネルギーが導かれること
        に関する理解を、具体的な式の導出、計算を通じて深める。次に半導体に議論を延長することで、伝導帯の電子および価電子帯の正孔の状態密度が導かれることを確認する。

      ○第14週(田渕):半導体材料学に関する演習2
         「応用物性」 2章 章末の演習問題を素材に、半導体について、
        1. フェルミエネルギーの温度依存性と伝導帯の電子および価電子帯の正孔の状態密度の関係
        2. 真性キャリア密度の意味
        について理解を深める。更に、電子・正孔密度を様々な表式で表せること、また、それらが等価であることを実際に式変形の操作を行って確認する。この作業を通じてフェルミ分布を使った電子・正孔密度の表現に親しむ。

      ○第15週(田渕):半導体材料学に関する演習3
         「応用物性」 2章 章末の演習問題を素材に、これまでの二回の演習を通じて得た半導体の電子状態に関する知識を基に、
        1. 特定の条件下で、電子・正孔密度などの近似表現を導出する
        2. ホール係数を導出する
        などの作業を行う。これを通じて半導体材料に関する理解を深めるとともに、一般的な状態を表す式表現から、特定の条件下での表式を導く能力を磨く。

    ◆バックグラウンドとなる科目:
       結晶物理学,材料物理学,量子力学 A,統計力学 A,半導体材料学

    ◆教科書:
       結晶物理学,材料物理学,量子力学 A,統計力学 A,半導体材料学の教科書欄参照

    ◆参考書:
       結晶物理学,材料物理学,量子力学 A,統計力学 A,半導体材料学の参考書欄参照

    ◆成績評価の方法:
       レポート (100%)
      全体で55%以上のポイントを得た学生に単位を認定する。