◆科目名:格子欠陥論
     
    ◆科目区分:専門科目
    ◆必修/選択:選択必修
    ◆授業形態:講義
    ◆単位数:2単位
     
    ◆開講時期:3年 前期
    ◆授業時限:水曜日 1時限( 8:45 〜 10:45 )
     
    ◆担当者: 坂 公恭(工学研究科 量子工学専攻)
     5号館 341号室,Tel:789-3348 ,saka@numse.nagoya-u.ac.jp
    佐々木 勝寛(工学研究科 量子工学専攻)
     5号館 342号室,Tel:789-3350 ,khsasaki@hix.nagoya-u.ac.jp ,
    ksasaki@numse.nagoya-u.ac.jp
     
    ◆問合せへの対応:随時

    ◆授業のねらいと内容:
       結晶材料中には格子欠陥が存在する。材料の性質のうち、ある種のものはこういった欠陥の存在に大きく依存する。このような性質を構造敏感な性質という。金属材料の塑性変形能はその典型である。また、半導体においては格子欠陥の存在が致命傷となり得る。本講義では格子欠陥、特に転位の基本的な性質について講義する。


    ◆授業計画:

      ○第1週(坂,佐々木):結晶中の欠陥
         点欠陥、線欠陥、面欠陥の定義とその一般的な性質。

      ○第2週(坂,佐々木):結晶の塑性変形と強度、転位の定義
         応力−歪曲線、降伏応力の定義、結晶の理想強度、転位の一般的な定義、刃状転位およびらせん転位の定義

      ○第3週(坂,佐々木):バーガースベクトル
         転位の特性の内、最も重要なバーガースベクトルの定義について講義する。
         バーガース回路、キルヒホッフの法則

      ○第4週(坂,佐々木):点欠陥の集合体によって形成される転位ループ
         点欠陥には空孔と格子間原子の2種類が存在するが、それらが集合合体することによって発生する転位ループの本性について講義する。

      ○第5週(坂,佐々木):弾性論の要点 (1)
         転位の弾性的性質を学ぶ上で必要な弾性論の要点を講義する。
         変位、応力、歪の定義、フックの法則、歪エネルギー密度関数

      ○第6週(坂,佐々木):弾性論の要点 (2)
         行列による表示、座標変換、応力、歪、弾性定数の変換、力、弾性定数

      ○第7週(坂,佐々木):転位の弾性論
         直線らせん転位の応力場、らせん転位のエネルギー、らせん転位に働く力、鏡像力、直線刃状転位の応力場、刃状転位のエネルギー、刃状転位に働く力、一般の直線転位のエネルギー

      ○第8週(坂,佐々木):転位間に働く力 (1)
         ピーチ・ケーラーの式の適用、互いに平行な転位間に働く力

      ○第9週(坂,佐々木):転位間に働く力 (2)
         互いに垂直な転位間に働く力

      ○第10週(坂,佐々木):FCC結晶中の不完全転位 (1)
         トンプソンの四面体、積層欠陥、拡張転位のバーガースベクトル

      ○第11週(坂,佐々木):FCC結晶中の不完全転位 (2)
         フランクの部分転位とイントリンシックあるいはエクストリンシックな積層欠陥、規則合金・金属間化合物中の超転位

      ○第12週(坂,佐々木):FCC結晶中の不完全転位 (3)
         FCC結晶中の不完全転位の拡張幅、規則合金・金属間化合物中の超転位の拡張幅

      ○第13週(坂,佐々木):溶質原子と転位の弾性的相互作用 (1)
         球対称ひずみ(コットレル効果)、化学的相互作用(鈴木効果)

      ○第14週(坂,佐々木):溶質原子と転位の弾性的相互作用 (2)
         異方性ひずみとの相互作用

      ○第15週:定期試験
         教科書、プリント、返却レポート、参考書、過去問題、過去問題の解答例などの持ち込み可。


    ◆バックグラウンドとなる科目:
       結晶物理学,材料物理学

    ◆教科書:
    • 結晶電子顕微鏡学:坂 公恭(内田老鶴圃)

    ◆参考書:

      ◆成績評価の方法:
         定期試験の結果を最優先する。
         但し、毎回のレポート、課題の評価は最大20%まで考慮する。
        全体で55%以上のポイントを得た学生に単位を認定する。