SOUTHERN COMFORT

サザン・カンフォートは、これまで「ある南部の男性が開発したもの」としか伝えられてこなかったが、1995年に出版されたイギリスのゴードン・ブラウン著"Classic Spirits of the World"で、創始者の名が明らかにされている。

同書によると、1860年にニューオリンズ市でバーテンダーをしていたヘロン/M.W.Heronという人物が、ある樽詰めバーボンの味が感心しないものだったので、果実味と甘味を加えて何とかおいしく飲めるように改良したのがこのリキュールの始まりという。彼は1889年にメンフィスに移り、そこで自分のバーを持ち、この自家製リキュールを売り、名を高めた。19世紀末には、西部への玄関口セントルイス市に移り、このリキュールを瓶詰めで発売するようになったということである。

ところで、アメリカの禁酒法時代、この酒はいったん姿を消す。そして、解禁翌年の1934年2月、セントルイス市のフランセス・E・ファウラー/Frances E.Fowler Jrとフィリップ・B・フーク/Philip B.Foukeがブランド復活を企て、同地に蒸留会社サザン・カンフォート社を設立して、製品を再発足させた。以後、アメリカ人の手になるアメリカン・テイストのリキュールとして人気商品になったが、同社は1979年になって、バーボン業界大手のブラウン・フォーマン社に買収され、今はその子会社として生産を続けている。

現在のサザンカンフォートは、糖蜜を蒸留した中性スピリッツがベース。ピーチを主体に、レモンほか数多くのフルーツのエキスとフレーバーを配合。ピーチの核のアーモンド・フレーバーも程よく溶け込んでいる。6ヶ月熟成させてから、瓶詰めをしている。甘味は控え目。

現在は、ヴァージン諸島のアメリカ領サント・クロア島で生産されている。

ラベルの絵は、ミシシッピ川添いのサトウキビ農園の邸宅を描いたエッチングを用いたもの。

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