この酒は、1984年、アメリカのナショナル・ディスティラーズ・プロダクツ社の研究室長アール・G・ラ・ローが、木にたわわに実っている桃の実を見ながら、その新鮮な香味をリキュール化したい、と考えついたのが始まり。さっそく事業提携先のオランダのデ・カイパー社に連絡を入れて、開発に当たってもらい、1984年に完成。翌年、アメリカで発売したところたちまち若者から支持され、爆発的なヒット商品となった。はじめは、トニック・ウォーター割りで飲むようPRしたが、オレンジ・ジュースで割る「ファジー・ネーブル」というカクテルのほうに人気が出て、飲み方の主流となった。この「ファジー・ネーブル」は今ではスタンダード・カクテルの地位に定着している。
製品は、ホワイト・ピーチ(東洋原産品種)、イエロー・ピーチ(欧州へ伝播する途中、ペルシャで変種として生まれた品種。ペルシャからピーチ、ページュの名が生まれた)のよく熟した実から、もぎたてのうちにエキスを抽出。それを中性スピリッツに溶かし込み蒸留。シロップ、水を加えてから、無色透明のまま製品化する。フレッシュな香味が身上。
この製品がアメリカで新発売されたとき、名称はピーチツリー・シュナップスであった。当時、デ・カイパー社では、従来のペパーミント・リキュールの濃厚で刺激的な甘みや風味を柔らげたペパーミント・シュナップスや、穏やかなベリー風味のブルーベリー・シュナップスなど、無色のライト・タイプのリキュールをアメリカに送り出してかなりの成功をおさめていた。そこで、ピーチのリキュールを発売したときも、そのシリーズの一環として単純にシュナップスという名を付けたのだが、その後ほどなく、現在のようにオリジナル・ピーチツリーと改名。ラベル上では、その下に商品の特徴を端的に表現した”ライト”という文字を配するようになった。