こうしたチョコレート・フレーバード・リキュールを取り扱うときに大切なことは、品質管理の面で細心の注意を払うことである。新鮮なクリームを配合した製品であるし、アルコール度数も20度以下というように低いので、流通の段階から、バー、レストランで開栓するまで、日光の当たらない涼しい場所におかれていなければならない。開栓後は絶対に冷蔵庫に保管すべきであり、なるべく早いうちに使い切るべきである。そういう点では、クレーム・ド・カシス同様の配慮が必要なのである。
こういう配慮をしていないバーに行って、開栓後数カ月たった酒棚のものを飲むと、ゴージャスでなめらかだった味わいは崩れている。そういうバーは、いくら有名であっても、一流の店舗とは認めたくない。
ところで、こうしたリキュールは、1990年代前半に続々とあらわれたニュー・ウェーブであり、その先陣を切ったのが、1992年発売のマリー・ブリザール社のショコラ・ロワイヤル。ついで1993年にゴディバ・リキュール、1994年にゴールドケンが発売され、現在このカテゴリーを代表する御三家となっている。特に、ゴディバとゴールドケンの2銘柄は、どちらもヨーロッパの超有名チョコレートのブランドを名乗っての登場であり、世のグルメ達の関心を呼んだ。
ゴディバ・リキュールは、シーグラム系列のリキュール。ゴディバ社と言えば、1920年にブリュッセル市で創業したベルギー・チョコレート界の名門。そのゴディバ社が選んだカカオ・エキスに、シーグラム社のグレーン・スピリッツを配合。それに加えて、ゴディバ社のチョコレートづくりで培われたブレンド技術によって、クリームやバニラなどを絶妙にブレンドしたもの。