WARNINKS ADVOCAAT


アドヴォカートとは、オランダ語で”弁護士”の意味。19世紀、オランダの農村では、自家蒸留のスピリッツに卵の黄身と砂糖を加えてホーム・リカーをつくることが行われていた。言うなれば、自家製卵酒である。そして、これを飲むと舌がよくまわるようになり、弁護士のように弁舌爽やかになるところから、この卵酒にアドヴォカートという愛称がつくようになったという。

その卵酒が、リキュール・メーカーの手で企業化されるようになったのは、20世紀に入ってから。ボルス、デ・カイパー、ワニンクなどのメーカー製品があらわれるようになった。

アドヴォカートについて、EU(ヨーロッパ連合)では次のように規定している。まず表記は、advocaat、avocat、Advokatの3つが認められ、良質の卵黄、卵白、砂糖、蜂蜜でつくられ、香料成分は、添加してもしなくてもかまわない。砂糖及び蜂蜜の量は1P当たり150K以上、卵黄の量は1P当たり140K以上、となっている。

香料成分を添加する場合は、フェンネル、レモン果皮、バニラや、キルシュワッサー、あるいは、マラスキーノなどのリキュールが利用されているようだ。

一般的な製法は、大きなステンレス槽の中にブランデー、卵、砂糖、香料成分を入れて、ボイラーで50数℃まで加熱しながら撹拌する。この場合の熱加減と撹拌の加減で、製品が粘着性の強いものになったり、比較的さらりとした粘度のものになったりする。また、卵黄の量に対して卵白の量は7分の1ぐらいにおさえるのが標準であるが、その比率の微妙な違いが製品の酒質の粘度にも関係してくる。

ワニンクス・アドヴォカートは、巨大酒類企業アライド・ドメック・グループ傘下のワニンク社の製品。同社は、1616年にアムステルダム市で創業の老舗。現在では、アドヴォカート生産のスペシャリストとして世界的に著名である。製品はさらりとしたミキサブルなタイプに属する。そのため、バーでスピリッツやジュース、炭酸飲料などとミックスするカクテルに広く使われている。

アドヴォカートは、他のクリーム・リキュール同様にシェルフ・ライフが気がかりな酒だ。ワニンクス・アドヴォカートの場合、輸入元では流通過程での在庫期間をなるべく短くするよう営業上の配慮をしており、末端で開栓してから使い切るまで冷蔵保存するならば、開栓後3〜4ヶ月以内であれば問題ないとしている。なお、長い間ボトルを立てたままにしておくと、瓶底の液体が透き通るようになるが、品質上に問題がなく、瓶を振って混ぜ合わせて使い、3〜4ヶ月以内に使い切るようにすればいい。

なお、ワニンクス以外の粘度の高いアドヴォカートは、グラスに注いだ後スプーンを添え、それでなめるようにして飲むことが多い。

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