Welcome Jian YANG
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Jian YANG (漢字名)楊 健
2.国籍 中華人民共和国
3.生年月日 1965 年 4月 2日生
4.性別 男
5.所属機関名(和文)名古屋大学 (英文)Nagoya
University
6.部局名 (和文)工学研究科 材料プロセス工学専攻
(英文)Department
of Materials Processing Engineering, Graduate School of Engineering
7.現職名 (和文)博士後期課程 学生 (英文)Student
for doctor’s degree
8.連絡先
〒464-8603 日本国名古屋市千種区不老町名古屋大学大学院工学研究科
材料プロセス工学専攻材料反応プロセス工学講座
電話番号:0081-52-7893250
FAX番号:0081-52-7894644
e-mail:
h002208d@mbox.media.nagoya-u.ac.jp
9. 高等教育
Name of
school Location Degree Field
Completion date (Month, Year)
北京科技大学 中国北京 理学士 物理
7 / 1985
北京科技大学大学院 中国北京 工学修士 鉄鋼冶金
7 / 1988
名古屋大学大学院 日本名古屋 研究生 材料プロセス工学 3 /
2000
名古屋大学大学院 日本名古屋 工学博士 材料プロセス工学 3 /
2003(予定)
10. 職歴
Name of
institution Location Position From – To
長沙鉱冶研究院 中国湖南省長沙市 助手工程師 1988.7―1991.6
長沙鉱冶研究院 中国湖南省長沙市 工程師 1991.7―1996.6
長沙鉱冶研究院 中国湖南省長沙市 高級工程師 1996.7―1999.9
名古屋大学大学院 日本名古屋市 中国政府派遣研究員 1997.10―1998.9
11. 学術賞
1).日本鉄鋼協会澤村論文賞、2002年3月(J.YANG,
S.OZAKI, R.KAKIMOTO, K.OKUMURA, M.KUWABARA and M.SANO: Desulfurization
of Molten Iron with Magnesium Vapor Produced In-situ by Carbothermic Reduction
of Magnesium Oxide, ISIJ Int. 41(2001),
No9, 945.)
2).中華人民共和国冶金工業部科学技術進歩賞(四等賞)、1993年12月、受賞証明書の番号93-155-02.(二酸化マンガンの電解プロセスにおける添加剤の研究)
12. 論文と特許
Ⅰ. 博士論文に関する報文
1). J.YANG,
S.OZAKI, R.KAKIMOTO, K.OKUMURA, M.KUWABARA and M.SANO: Desulfurization of
Molten Iron with Magnesium Vapor Produced In-situ by
Carbothermic Reduction of Magnesium Oxide, ISIJ
Int. 41(2001),
No9, 945.
2). J.YANG, K.OKUMURA, M.KUWABARA and
M.SANO: Desulfurization of Molten Iron with Magnesium Vapor Produced In-situ by
Aluminothermic Reduction of Magnesium Oxide, ISIJ
Int. 41(2001),
No9, 965.
3). J.YANG, K.OKUMURA, M.KUWABARA and
M.SANO: Effects of Operating Paraments on Desulfurization of Molten Iron with Magnesium
Vapor Produced In-situ by
Aluminothermic Reduction of Magnesium Oxide, ISIJ
Int., 42(2002),
No6, 595.
4). J.YANG, K.OKUMURA, M.KUWABARA and M.SANO: Behavior of
Magnesium in the Desulfurization Process of Molten Iron with
Magnesium Vapor Produced In-situ by
Aluminothermic Reduction of Magnesium Oxide, ISIJ
Int. 42(2002),
No7, 685.
5). J.YANG, K.OKUMURA, M.KUWABARA and M.SANO: Improvement on
Desulfurization Efficiency of
Molten Iron with Magnesium Vapor Produced In-situ by
Aluminothermic Reduction of Magnesium Oxide, to be published.
Ⅱ. その他の報文
1). 曲英、楊健、徐保美:冶金におけるガス攪拌による浴内の流れとスラグのメタルへの巻き込みの検討、化学反応工程とプロセス、1990、3。
2). Y.QU,
J. YANG and B.M.XU: Mathematical Modeling of Flow Phenomena in Metal Bath
Covered with Molten Slag, Acta Metallurgical Sinica, Dec., 1990.
3). 楊健、李宗雄、薜生輝、覃事彪:チタン鉱石を溶融塩素処理する反応炉内の塩素分布の検討、バナジウムとチタン、1994、12。
4). 楊健、李宗雄、庁永青:チタン鉱石を溶融塩素処理したスラグを利用したマグネシウム合金の製造、鉱冶工程、1994、12。
5). 楊健、李宗雄、覃事彪、薜生輝:チタン鉱石を溶融塩素処理する反応炉内の固体粒子の分布、バナジウムとチタン、1995、1。
6). 賀万寧、覃事彪、李宗雄、楊健:高密度、球形Ni(OH)2の製造、電源プロセス、1995、10。
Ⅲ. 特許
1). 賀万寧、楊健、仲志泉、李宗雄:高効率で高純度MnSO4溶液の製造、Pat.CN92112673.5.
2). 楊健、李宗雄、賀万寧:酸化マンガン鉱石から高純度MnCO3の製造法、Pat.CN94113105.
13. 現在の研究
マグネシウムは溶銑予備処理における脱硫剤として非常に有効であることを知られている。しかし、マグネシウムは高価であり、反応効率が高くないため、あまり使用されていない。本研究ではマグネシアを還元してマグネシウム蒸気を製造し、溶鉄中に直接吹き込む、効率的な精錬プロセスを開発した。
このプロセスにおいては、マグネシウムの代わり、廉価なマグネシアを使用するため、コストを下げることができる。マグネシアと炭素及びアルミニウムの混合粉末を成形することによりペレットを製造する。このペレットを耐火物製管に装入し、溶鉄中に浸漬する。この浸漬管は溶鉄により加熱され、炭素及びアルミニウムによるマグネシア還元して、その場生成したマグネシウム蒸気を浸漬管の孔から溶鉄中へアルゴンキャリア-ガスとともに直接吹き込み、溶鉄の脱硫実験を行った。本脱硫法においてマグネシウムの分圧と気泡の大きさを制御することにより、マグネシウムの脱硫効率は従来の20%から50%と大幅に向上し、約15分間で硫黄の濃度は500ppmから10ppmまで低下した。これより、低コストで、迅速に極低硫鋼を製造することが可能になった。また、本プロセスにおけるマグネシウム吹き込みは安全であり、発生するスラグ量も大幅に削減することができる。
温度、ペレットの質量、初期硫黄濃度、キャリアーガス(アルゴン)流量、ペレットの分割投入、ペレットの成形圧力及び雰囲気中酸素分圧など操作パラメーターが脱硫プロセスに与える影響を実験的に調べ、特に浸漬管の材質の影響が非常に大きいことを見いだした。
マグネシウムを利用した脱硫に関する速度論的な研究は少なく、脱硫の詳細なメカニズムはまだ不明のままである。本研究では脱硫反応がガス側と液側物質移動の混合律速とする数学モデルを提案した。本モデルによる解析の結果、マグネシウムの脱硫反応が主に気泡界面で起こること、反応の律速段階はメタル中の硫黄の物質移動であることなどを明らかにした。
脱硫プロセスにおけるマグネシウムの挙動の速度論的な研究もほとんど行われていないため、本プロセスにおけるマグネシウムの挙動を詳しく調べ、速度論的な検討も行った。その結果よりマグネシウムの挙動が明らかになっただけではなく、脱硫メカニズムも再確認することができた。また、マグネシウムの脱硫効率、メタル中への溶解度、雰囲気への離脱率、浴表面からの蒸発速度なども明らかにした。
構築した脱硫反応のモデルに基づき、脱硫プロセスに及ぼす気泡径、浸漬管の浸漬深さとペレットの分割投入の影響を調べた。マグネシウムの脱硫効率を高めるために、各硫黄濃度における最適なマグネシウム分圧を算出した。その最適なマグネシウム分圧に制御したマグネシウム-アルゴン混合ガス吹き込みによる脱硫を行い、非常に高い脱硫効率が得られことを理論的、実験的に示した。また、気泡径を小さくすることができれば、キャリアーガスの流量を抑え、脱硫効率をさらに向上することができる。
以上のとおり、本研究においては、マグネシアの炭素およびアルミニウム熱還元反応を用いてその場製造したマグネシウム蒸気による新しい溶鉄の脱硫プロセスを提案し、実験と理論的な考察により、その脱硫機構を解明した。さらに、Arキャリアガス流量を変化させ、気泡中のマグネシウムの初期モル分率を最適に調節することにより、マグネシウムの脱硫効率を飛躍的に高める新たな方法を提案した。これらの一連の成果により、低コストで、迅速に極低硫鋼を製造する新たな脱硫プロセスの基礎を確立した。さらにこのプロセスの場合、マグネシウムの吹き込みは安全且つ容易であり、発生スラグ量を大幅に削減することができるため、本研究で開発した新脱硫法は実際の溶銑脱硫処理に大いに寄与することが期待できる。