研究目的 (Objective)
 超音波技術は理学,工学,水産学,医学など広範囲の分野で広く用いられ,材料分野においても,現在,超音波探傷器,厚み計などの情報的応用,また,超音波洗浄,超音波溶接,超音波振動切削,超音波塑性加工,超音波鋳造などの動力学的応用がなされている。今後,エレクトロニクス技術の発展や超音波発生用の振動子とホーンなどの超音波振動の伝送系の開発により,更にその応用範囲が拡大すると期待できる。
 高温の材料プロセスにおいて近未来に実現性のある超音波技術としては,情報的応用では,電磁超音波変換子やレーザービームを用いて対象物と非接触に発生させた超音波を高温で劣悪な環境下での計測や非破壊検査へ応用する技術,また,動力学的応用では,超音波の凝集,分散,配向などのエネルギー作用を利用して,液中での気泡分散,対流制御,介在物除去や複合材料の製造プロセスへ応用する技術等が考えられる。導電性の気体や液体を対象にした場合には、プラズマまたは電磁力応用のプロセシングが有り得るが,導電性,非導電性を問わず対象物に強力な外力やエネルギーを投入でき,かつ,音響工学を基礎として音場設計が可能な超音波は,材料プロセシングの分野において多くの新規技術を創製できる可能性を秘めている。
 上記の背景を踏まえ,超音波利用材料プロセシングの技術開発(Creation of the Field of Sonoprocessing of Materials)のために,超音波に関心のある研究者が討論を重ねる場として上記の研究会が発足した(1995)。